アンバランス状態とバランス状態でのボーリングツール比較テスト
アンバランス状態とバランス状態のボーリング工具を使用して比較加工テストを行いました。
わずかな加工時間でもバランスが以下に重要な役割を担っているかご確認できます。HAIMERツールダイナミックでバランス修正したボーリング工具はプロセス信頼性のみならず、高精度にワークを加工しています。
この比較テストではアンバランス状態のボーリング工具の振動がワークだけでなく、工作機械スピンドルの寿命にも悪影響を与えていることが分かりました。
加工内容: |
ボーリング加工_D=18,0 H7 |
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工具: | F101 02GN735 PKDD30 |
ワーク材質: | アルミ |
工具長[mm]: | 200mm + 104mm |
ae [mm]: | 0,25 |
刃数: | 1 |
vc [m/min]: | 565 |
fz [mm/tooth]: | 0,1 |
n [Rpm/min]: | 10.000 |
vf [mm/min]: | 700 |
ボーリングツール比較テスト
1. アンバランス状態のボーリング工具
加工時の振動が大きい!
回転時の振動はスピンドルに大きな負荷をかけ、スピンドルの寿命が最大50%短くなります。そのため、工作機械及びスピンドルのメーカーは、回転工具システムのバランス要件に対処する規格を考案しました(DIN69888)。これらのバランス要件が満たされていない場合、スピンドルの保証は完全または部分的に無効になります。
また、振れが悪いと工具寿命が短くなり、さらに工具の公差と精度にも悪影響を及ぼします(ポイント4と5を参照)。
2. ボーリング工具のバランス
HAIMERバランシングマシンは簡単に取り扱いができるため、バランス測定/修正は数分で完了します。このマシンは測定物の回転中に発生する遠心力を測定し、測定結果と修正案を提示します。
アンバランス状態のボーリング工具の測定結果は公差外(公差:G2.5_10,000rpm)であることを示しています。現状のバランス等級はG=97.3です。公差で入力したバランス等級G=2.5を保ったままであれば、256rpm以下で回転しなければなりません。
次のステップでは、ボーリング工具のアンバランスをバランシングスクリューで修正します。バランシングマシンのソフトウェアは、修正箇所と修正量(重さ)を作業者に指示します。
アンバランス修正後に再測定を実施します。測定後に結果が表示されます。要求公差(公差:G2.5_10,000rpm)内にバランス等級が入りました。修正後のバランス等級は要求公差以上になり、10,000rpm時にG=1.9になります。
3. バランス状態のボーリング工具
バランスの良いボーリング工具を使用した加工では、振動音が発生しません。工作機械は「静かに、スムーズに」動きます。
4. プラグゲージによるワークの精度確認
プラグゲージによる加工穴の精度確認を行っています。アンバランス状態で加工した穴はプラグゲージが通りません。
穴の寸法公差が外れたことを意味します!
5. セントロによる精度確認
HAIMER セントロを使用して加工穴を測定すると偏差が視覚的表示されます。
6. 加工結果(バランス vs アンバランス)
左図の測定結果が、プラグゲージが加工内径に適合しない原因を示しています。
アンバランス状態でのボーリング加工は楕円になってしまいます!
バランスを取った状態でボーリング加工すると形状精度が非常に高いです。
結論として、バランスのとれた工具には多くの利点があると言えます。工具とスピンドルの寿命が長いことに加えて、生産性、プロセスの信頼性、ワーク精度を向上させる可能性は、バランスをとることを支持する最も強力な議論の一つであることは間違いありません。
工作機械の理想的な加工パラメータは、工具とツールホルダの両方が高い振れ精度とバランスグレードを備えている場合にのみ選択できます。
したがって、工具交換するたびにツールホルダーのバランスを確認することはとても重要です。